今年春から、新しい保育園に転職し
「失敗した」と後悔しているA子さんと
「転職してよかった!」と喜んでいるB代さん。
A子さんの転職後のお話です。
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A子さんは、年度末ギリギリに転職先が決まったことで、自分はなんてついているんだ、これから新しい保育士人生が始まるんだ、と舞い上がっていました。
何と言っても、いままでの職場に別れを告げられる、それだけでも勝ち誇ったような気持ちになっていました。
同僚や先輩、園長の焦った顔が目に浮かぶようです。
転職が決まった次の日、早速クラスの同僚に「私、転職決まったんだ」と打ち明けました。
するとびっくりした顔で同僚は言いました。
同僚「え?どこに?」
A子さん「Z園だよ。子どもは60人ぐらいかな」
同僚「Z園……」
なぜか曇ったような表情をしたので、A子さんは聞き返しました。
A子さん「何か気になる?」
同僚「私の友人がそこで働いているんだけどね、園長先生が結構きつい人で、年度末に何人か辞めるみたいだよ」
A子さん「そうなんだ。でも株式会社でやってるし、辞めたとしても他の園から異動したりして、補充されるよね」
同僚「見学とか、面接とかに行ったときに何か感じなかった?」
A子さん「そういわれてみれば少し、職員に元気がないような……でもこの園だって同じでしょ」
同僚「給料とかも、いまいちだって聞いてるよ。本部も何もしてくれないんだって」
A子さん「ふーん」
A子さんは、「この園よりはましだ。ここから逃げられるのであれば、どこでもいい」とにかくそんな気持ちでいっぱいでした。
新しい環境で、笑顔でバリバリ働いている自分の姿しか思い浮かびません。
そしてついに4月。
年度末ギリギリまで自分のクラスをやりきり、雇用契約書なども急いで取り交わし、4月1日に初出勤の日を迎えました。
配属されるのは1歳児クラス12名だと聞いています。
クラスのリーダーに紹介され、挨拶し、オリエンテーションなども特になく、いきなり保育が始まりました。
そこからのA子さんの日々は、想像していた以上に過酷なものでした。
そして勤務開始から2週間もたたないうちに、
転職したことを後悔し始めていました。
その主な後悔のポイントは下記のような点です。
●職員が年度末に10人退職。そのため、入れ替わりで中途採用の職員が複数人入ったが、明らかに保育士の人数が足りず、休憩もまともに取れない。
●常に保育士が足りないシフトが組まれているため、クラス担任もギリギリの人数(常勤2人+パート1名のみ)そのため子どもが落ち着かず、新入園児は特に泣きっぱなし。ヘルプも来ない。ケガも続出。
●園長はクラスの様子を見に来ず、事務室にこもりっきり。保育室に入って保育の指導をするでもなく、本社の人とずっと話している。
●ギスギスした人間関係。大量退職の余波もあり、皆気持ちに余裕もなく、職員は皆くらい顔をしている。おまけに体調不良で毎日誰か休んでいる。
●給与面待遇面の説明が、紹介会社から聞いていた話と違う。どうやら手取りはかなり低そう……。
ここまでミスマッチなのであれば、もっと慎重に、時間をかけて転職活動をしていればよかった。
生活もあるため、すぐにまた辞めるわけにもいかず、すぐに働ける別の保育園を求人サイトで検索する眠れない夜が続いています……。
以上がA子さんの転職の顛末でした。彼女がなぜ後悔することになったのか、そのポイントについては、成功したB代さんの事例をご紹介した後、また振り返ることとしたいと思います。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)