ぶるーむサプリ☆~シアワセ保育士・メンタルのヒント~Vol.11「保育観の違い」がメンタルに来るんです…観察~自分の行動編⑥セルフチェックを受けて

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前回は昨今問題となっている、「不適切保育」の事例を見つめ、セルフチェックの紹介をしました。その内容を見ながら、「自分の価値観や保育の軸」について具体的に考えてみましょう。

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「不適切保育」にはさまざまな内容がありましたね。
叩いたりひっぱたりなどの「身体的虐待」や、わいせつ行為など「性的虐待」はもってのほかですが、子どもたちの心に深い傷を残すのは「心理的虐待」や「ネグレクト」も同じです。

そうした行為が、今日もどこかの保育園で行われているのでしょうか。本当に悲しく、憤りを覚えます。原因としては保育士不足や職場環境、待遇面での不満などの背景が考えられますが、この状況が一日も早くすべて解決されるように、私たち保育者は自分の保育観をもう一度見つめなおし、しっかりと立て直す時期に来ています。

心理的虐待やネグレクトは、「保育士としての仕事をこなすために」
日常の保育の中で繰り返し行われているため、たとえ、同僚がそうした行動をしているのを目にしていても、本人も周囲もマヒしてしまっていくのです。

前回紹介した、一般社団法人全国保育士会から出されている『保育所・認定こども園における 人権擁護のためのセルフチェックリスト』を参考に日頃の保育について考えてみましょう。

↓HPはこちら↓

https://z-hoikushikai.com/download.php?new_arrival_document_id=123

大きくわけて5つのカテゴリーに分かれています。
(1)子ども一人ひとりの人格を尊重しないかかわり
(2)物事を強要するようなかかわり
(3)罰を与える・乱暴なかかわり
(4)一人ひとりの子どもの育ちや家庭環境を考慮しないかかわり
(5)差別的なかかわり

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例えば
(1)では、「食事の際、こぼすなどの理由で、テーブルに給食のメニューをすべて配膳せず、食べたら次のおかずをあげる、または、こぼすたびに叱りながら食べさせる」という項目があります。

もし、あなたの同僚がそのような行動をしていたら
「あなたはどうしますか?」

こんな行動が考えられるでしょう。
①黙って見過ごす(注意するのが怖い、私に何かいじわるをしてくるかもしれない)
②クラス会議などで勇気を出して「給食は、職への関心や意欲を育むためのものですから、すべての献立を配膳して、子どもが自分で選んで自分の食べたい順番で食べたほうがいいと思うんです」と言ってみる。
③こぼすたびに叱ることは違うのではないか、と、同僚の行動をたしなめる。
④園長や主任、クラスリーダーなどに相談し、現場を見てもらう。
⑤直接注意することはできないが、せめて、子どものケアをする。(こぼすたびに叱りながら食べさせている、場面では、「私が代わりますよ」と言ってみる。「大丈夫だよ。たくさん食べようとしているんだね」と子どもに声がけをする)

いかがでしょうか。
優先すべきこと、大切にすべきことは、子どもの人権であり、子どもの最善の利益です。
正解がどれとは言えませんが、①は、できれば避けたいです。多くの人が、このジレンマに陥っているのではないでしょうか。
見逃す行為は、その場はやり過ごせても、自分にとって、何よりも子どもにとって辛く耐えがたいこと。この心理的なブロックを外していくこと、それについても後々触れたいと思います。

②や③はなかなかハードルが高いですよね。しかし事態が大きくかわったり子どもへのそうした不適切な対応がなくなる可能性は多いに期待できるでしょう私がかつて実際に現場で実践していたことは⑤です。

このことについては次回詳しく触れたいと思います。何よりも、虐待と思われる行為だ、と確信した場合には速やかに報告することです。その点だけは、しっかりと心に留めてくださね。

次回へつづきます。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪

次回は「具体的に保育の中で、いま、私ができること」について具体的に考えてみたいと思います。
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)

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