今年春から、新しい保育園に転職し
「失敗した」と後悔しているA子さんと
「転職してよかった!」と喜んでいるB代さん。
いったんその情報を整理してみたいと思います。
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<まとめその1 ~転職理由編~>
転職活動をスタートさせた時期に、そもそも大きな違いがあったことが、
成功か失敗かを分ける要因になっていたのかも…。
前回はそんなお話でした。
今回は、そもそもなぜ転職をしたいとおもっていたのか、その理由について考えてみましょう。
●転職に失敗した……と後悔しているA子さん
・同じ学校を卒業した同級生たちは、もっと給料やボーナスをたくさんもらっている。
・じつは持ち帰り残業をしているのに、園長先生や主任は見て見ぬふりをしている
・自分はもっとアットホームな環境でじっくり乳幼児にかかわりたいのに、
1クラスの子どもの人数が多く、流れ作業のようになってしまっている
・何より人間関係があまりよくない、合わない同僚や先輩がいる
●転職に成功した!と実感しているB子さん
・現職にも特に不満があるわけではないがモヤモヤ
・モヤモヤの原因は、小規模保育所が0~2歳児クラスのみの保育であること
保育者との愛着・信頼関係を築いて、あたたかい環境の中でゆったりかかわってあげたい。その気持ちで保育一筋に頑張ってきたが、年度途中に幼稚園や大きな保育園に転園してしまう子もおり、寂しい気持ちが募っていた
・保育士として、0歳から小学校に上がる就学前までの長期の期間、子どもの成長を見届けたい
・保育士として、さらにスキルアップしたい。
A子さんが抱いているように、給与・待遇面への不満は、保育士の離職理由第3位であり、ごく普通のことです。B代さんも、理由の一つにはあげていないものの、深層心理には「大きな園のほうが、給与もいいし、将来も安定しそう」という思惑もあったかもしれません。
転職理由をさらにじっくり見てみると、A子さんは、保育への想いはもちろんあるものの、人間関係や保育内容についても“不満”が中心になっていることがわかります。
現在の職場に対する不満が募り、他の新しい園にうつれば、問題はすべてクリアになる、早くここから抜け出したい!と、転職先の“まだ見ぬ保育園”を美化してしまう傾向に陥ってはいなかったでしょうか。
A代さんも、「この小規模保育所にいる限り、子どもたちの成長を見届けられない」という物理的には確かにそうですが「ここでは自分の保育への夢を叶えられない」と思い詰めてしまっている一面もありますが、もっと前向きなチャレンジ精神が、彼女の転職理由の根底にあることがわかるでしょう。
ネガティブな理由にせよ、ポジティブな理由にせよ「転職したい!」と思う気持ちがすべての行動の原動力になります。ただしそのことにより視野が狭くなったり偏った価値観のフィルターで判断してしまいやすくなる、ということにも留意する必要があるでしょう。
保育士を辞めた理由(複数回答) 令和4年度東京都保育士実態調査

次回は、転職を決めたポイントについて考えてみたいと思います。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)