今年春から、新しい保育園に転職し
「失敗した」と後悔しているA子さんと
「転職してよかった!」と喜んでいるB代さん。
今回からはB代さんのお話です。
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B代さんは、首都圏の駅チカにある、定員19名の小規模保育所で勤務して6年目になります。
子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合い、ゆったりした環境で保育がしたい、という思いから、0、1、2歳児対象の小規模保育所を選んだのです。
大学で保育士と幼稚園教諭の資格を取得。
実習ではさまざまな園に行きました。
定員が200名もいる大きな保育園から、歴史ある幼稚園、児童養護施設……
しかしどれもしっくりするところはありませんでした。
大きな保育園や幼稚園も、とても魅力的だったのですが、働く人の人数が多く、先輩や後輩の人間関係もがっちり出来上がっており、また何だか流れ作業で保育をしているような場面を見てしまったりして、大規模の園で自分がやっていける自信がなかったのです。
そこで、地元にあるアットホームな小規模保育所を選びました。
園長も、職員もチームワークが良く、新人のB代さんも初年度は1歳児クラスの担任として経験を積み、その後も0~2歳までのクラス担任を任され、順調にキャリアを積んでいきました。
しかし入職して5年目、2歳児クラス担任として新年度を迎えたB代さんには、少しモヤモヤした思いがこみ上げてきました。
「小規模保育所は、小学校に上がるまでの成長を見届けられない。そこがさみしいな……乳児保育はとても楽しいけれど、将来的には、もっと長期間にわたって子どもたちの成長を見守る環境で、保育士としての経験を積みたいな」
小規模保育所は2歳児まで。3歳児以降は、保護者は受け入れ先を新たに探す必要があるため、2歳児クラスにあがる時、数名の子は、5歳児まで受け入れのある認可保育園に転園してしまったのでした。
たくさんの楽しい経験を、0~2歳児の間にも積ませてあげたい。
保育者との愛着・信頼関係を築いて、温かい環境の中でゆったり関わってあげたい。その気持ちで保育一筋に頑張ってきたけれど……。
B代さんの保育への想いはだんだん大きくなっていきました。
そこで、B代さんは、平日の振り替え休日を利用して、転職活動を視野に、いろいろな保育園を見学することにしました。
しかし、自分の足で探すのはなかなか大変。いくらインターネットが発達した時代とはいえ、ひとつひとつ調べて電話をして……となると、手間も時間もかかります。
限られた時間の中で、じっくり慎重に比較検討したうえで、本当に自分が納得がいく保育園に転職したい。自分がめざす保育とは何なのか、この機会にしっかり考えたい。
そこで、B代さんは転職エージェントが運営するいくつかの保育士求人サイトを検索し、信頼できそうないくつかのサービスに登録しました。
登録したとたんに、たくさん電話やらメールが届き、困惑してしまったB代さん。「保育士って本当に足りないんだ」ということを実感しました。
「今すぐに転職したいわけじゃないんです。じっくりと探そうと思って」
そう話すと、転職エージェントのキャリアアドバイザーは言いました。
「大丈夫ですよ。来年の4月転職に向けて、一緒にじっくりと職場選びをしていきましょう。見学だけでもお気軽にお申し付けくださいね」
B代さんは、クラス担任としての仕事もしっかりこなしつつ、
自分の保育を見つめ直しながら、次なるキャリアを思い描きながら
転職活動をスタートしたのでした。本格的な夏が始まる6月のことでした。
次回へつづく。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)