前回からスタートした、保育士の転職について考える新シリーズです。
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今年春から、新しい保育園に転職した
A子さんとB代さん。
実はこの二人のうち一人は、「転職しなければよかった」と後悔。
もう一人は「本当に転職してよかった!」と心から感謝している、
真逆の状況にあります。
同じ転職なのに、どうして明暗が分かれてしまったのでしょうか。
まずは「転職しなければよかった」と大きく後悔している
A子さんのケースから見ていきましょう。
前年度の2月中旬、A子さんはスッキリ晴れ晴れとした気持ちで、
園長先生に言い放っていました。
「私、転職します」
新年度のクラス編成に頭を悩ませていた園長先生は驚き、困り果ててしまいました。
ここは株式会社が運営する、民間の認可保育所(120名定員)。
1歳児クラス担任で頑張ってくれていたA子さんが
まさか「辞める」と言い出すとは思っていなかったし、
(年度途中の職員面談でも、一切そんな態度は見せていなかった)
次年度のクラスリーダーの要を担ってもらおうと考えていたからです。
A子さんは、保育士養成校を卒業し、現在3年目。
ようやく保育士としての自信もつき、いよいよ後輩も入ってきて、
これからますますキャリアアップしていく期待の職員だったのです。
新人の頃の、悩み多き時期も過ぎ、
先輩たちのちょっとキビシメの教育にも耐え、子どもたちにも人気で
保護者にも信頼のある、非の打ちどころのない保育士人生を歩んでいます。
しかしA子さんには、誰にも言えない、秘めた不満と悩みがあったのです。
・同じ学校を卒業した同級生たちは、もっと給料やボーナスをたくさんもらっている。
・持ち帰り残業をしているのに、園長先生や主任は見て見ぬふりをしている
・自分はもっとアットホームな環境でじっくり乳幼児にかかわりたいのに、
1クラスの子どもの人数が多く、流れ作業のようになってしまっている
・何より人間関係があまりよくない。合わない同僚や先輩がいる
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「転職しようかな」という思いが沸き上がってきたのが、
2年目も半ばに差し掛かったときでした。
「保育士不足の世の中だから、どこにでも行かれる、
こんな不満だらけのところより、絶対にいいところがある!」
心の底にたまった不満はどんどん大きくなり、3年目に入ってすぐに、
求人サイトをチェックするようになったのです。
もちろんクラス担任をしていますし、
同僚に相談しようものなら、「A子先生、辞めたいらしいよ」などと
尾ひれがついて噂はすぐに広まってしまうことはわかっているので、
誰にも相談せず、ひとりでスマホをチェックする日々でした。
A子さんはそのあと、どのように転職活動を進めていくのでしょうか。
次回は、A子さんの転職活動の軌跡を追いながら、後悔している現状にどのようにつながっていったのかについて考えていきます。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
(文:鈴木聖子)