Vol.62 保育に役立つ心理学 シーズン2 ⑬イライラとの付き合い方

マガジン

保育士のメンタルに効くプチコラム「ぶるーむサプリ」です。
保育に役立つ心理学の新シーズン13回目は、「イライラとの付き合い方」です。
——————————————————–

保育士のための「イライラとの付き合い方」 ― 感情を味方にする工夫

保育の現場は、笑顔や感動にあふれる一方で、想定外の出来事が次々に起こる場所でもあります。泣き声が重なったり、保護者から厳しい言葉を受けたり、業務が山積みになったりすると、どうしても心に「イライラ」がたまってしまいますよね。

つい、イラっとしてしまったときに「保育士なんだからイライラしてはいけない」と自分を責めてしまう人も少なくありません。そして感情を抑え込んでしまうのです。毎日毎回リセットできたらよいのですが、それが続くとストレスが蓄積してメンタル不調につながってしまうこともあります。今回はイライラを否定するのではなく、「上手に付き合う」ための視点を考えてみましょう。

イライラは悪者ではない

まず大切なのは、イライラそのものを「悪い感情」と決めつけないことです。

イライラは本来、私たちに「何かがうまくいっていない」「自分の大切なものが脅かされている」というサインを教えてくれる感情です。例えば、子どもが危ない行動をしたときにイライラを感じるのは、安全を守りたい気持ちの裏返しですし、業務が過重でイライラするのは、「もっと余裕を持ちたい」という心の声なのです。

つまり、イライラは自分の本音や感情の傾向、いま自分が必要としていること、心身の疲労状態を知る手がかりになります。大切なのは、それをどう扱うかです。

保育士がイライラしやすい場面

下記のうち、あなたがよくイライラしてしまう場面は?

 ・泣き止まない子どもに対応し続けるとき

 園児同士のトラブルが繰り返されるとき

 ・保護者対応で理不尽な要求を受けたとき

 ・行事や書類作成で時間に追われているとき

 ・職員間で業務の偏りやすれ違いを感じるとき

こうした状況は、保育の現場では日常茶飯事であり、イライラをゼロにするのは不可能です
だからこそ「湧き上がったイライラをどう受け止めるか」がカギになります。

イライラを溜め込まないための工夫

1. 感情をラベリングする
「あ、私、いまイライラしているな」と心の中で言葉にしてみましょう。感情をラベルづけすると、気持ちが客観視され、冷静さを取り戻しやすくなります。

2. 呼吸を整える
深くゆっくりと呼吸をするだけでも、自律神経が落ち着きます。子どもの前でイライラしそうになったら、まず一度深呼吸をしてみるのも効果的です。

3. 小さな距離をとる
可能な場面では、同僚に一時的に子どもを任せる、数分だけ別室で気持ちを整えるなど、「その場から少し離れる」工夫が役立ちます。

4. 思いを共有する
「今日、どうしても子どもたちが落ち着かなくてイライラした」など、同僚や友人に話すことで気持ちが整理されます。同じ経験を共有できる仲間がいることは、心の支えになります。

5. 自分を労う習慣を持つ
仕事帰りに、おいしいスイーツを買う、お気に入りのカフェや雑貨屋さんに行く、推しの動画や海外ドラマを見る、音楽を聴く、入浴でリラックスするなど、自分をいたわる時間を意識的に持ちましょう。自分がご機嫌になるアイテムをいくつか用意しておき、「今日はどれにしようかな」と選ぶのも楽しいでしょう。

「今日もよく頑張った」と自分を認めることが、イライラを翌日に持ち越さないポイントです。

イライラをきっかけにできること
イライラを「気づき」として活用することで、職場や自分の働き方を改善するチャンスにもなります。

 ・業務が多すぎてイライラする → 園内で役割分担を見直す提案につなげる 

 ・子どもの行動にイライラする → 発達段階を理解し、対応方法を工夫する

 ・保護者対応にイライラする → 園全体での方針やサポート体制を強化する

 ・管理職や同僚にイライラする → 定期的に面談や話し合いの機会を設ける

なぜ自分はイライラしたのか?」を振り返ることで、単なる不快感が「改善のヒント」に変わります。

周囲のサポートも大切

「あの人はいつもイライラしている」「あれって不適切保育じゃない?」などという会話はよく、保育園の休憩室で聞かれる会話です。でももしあなたが同じことを言われていたとしたら、悲しいですよね。

適度に愚痴を言い合うことは、ストレスを溜め込まない為にも仕方がないことですが、個人攻撃をするのではなく、園全体で「誰もが感情を持っていて当たり前」という理解を共有し、安心して話し合える雰囲気を育てることが重要です。

特に園長や主任、クラスリーダーなどは、職員がイライラや疲れを口にしても否定せず、「よく頑張っているね」「どうしたの?話聞くよ!」と、受け止める姿勢を持つことが、職場全体の安心感につながります。

おわりに

イライラは「悪いもの」ではなく、自分の心身の限界やニーズを教えてくれるサインです。大切なのは、それを否定するのではなく、うまく付き合うこと。

感情を言葉にし、呼吸で落ち着き、仲間と支え合い、自分を労わる。その積み重ねが、保育士として長く健やかに働き続ける力になります。

イライラを味方につけることで、子どもたちとの毎日も、より穏やかで豊かな時間に変わっていくでしょう。

———————————————————-

このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。

(文:鈴木聖子)

タイトルとURLをコピーしました