今年春から、新しい保育園に転職し
「失敗した」と後悔しているA子さんと
「転職してよかった!」と喜んでいるB代さん。
前回に引き続き、B代さんの転職活動のお話です。
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保育士専門の転職エージェントに登録し、転職活動をすすめたB代さん。
大手ではないけれど、親身になって話を丁寧に聞いてくれるアドバイザーに出会いました。
園の見学にも同行してくれるといいます。
事前に、「自己分析シート」という書類を用意することになりました。
そこには、職務経歴や志望動機を書く欄とは別に
「あなたの強味を教えてください」「併せてその強みにまつわるエピソードを教えてください」
という項目がありました。
新卒の就職活動以来です。改めて「自分の強みってなんだろう」と考えた時、
B代さんの手は止まってしまいました。
・性格は明るい
・誰とでも仲良くなれる
・協調性がある
・粘り強さがある
そのぐらいしか思いつきません。エピソードの欄は書かず、いったんアドバイザーに提出し相談しながら追記することにしました。
するとすぐにアドバイザーから電話がありました。
「早々に提出いただきありがとうざいました。ただ、ご自身の『強み』のところが少し弱いですね。例えば『性格は明るい』とありますが、これは強みというより性格ですね。もっともっと自己分析をしてみてください。もし難しければいったんお会いして、一緒に考えていきませんか」
と言います。B代さんは、自分自身のことをわかったつもりでいた自分のことを振り返り、とても恥ずかしくなりました。
「ぜひお願いします!一人で書いていると、全然思いつかなくて……」
後日、とあるカフェで、B代さんはアドバイザーと初めてリアルの面談をしました。
アドバイザーは「参考になるかどうかわからないのですが、こんなものを持ってきました」と、『強みキーワード』と題したペーパーを用意してくれていました。
「この中で思い当たるものがあれば、どんどん〇をしてみてくださいね」
例えば「コミュニケーション力」の項目にはこんな強味が書いてあります。
・初対面でも気軽に話すことができる
・新しいメンバーに対しても、フラットに接することができる
・場の空気を読むのが得意
・人間関係の構築が得意
・サポート力がある
・場を和ませる、ムードメーカー
・交渉力がある
・相手の要望や気持ちを理解できる
B代さんは、どんどん〇をしていきました。
「すごい!ほとんど〇がついてますね。コミュニケーション力が強みの一つですね!」
他には「積極性」「柔軟性」「誠実さ」「忍耐力」などの項目などがあり、それぞれにいくつかのキーワードが並べられていました。
積極性の項目では少し〇が少ない結果でした。
「いま〇をつけてもらった項目の中で、ご自身が保育現場で実践・体験してきた具体的なエピソードはありますか」
「うーん、そうですね。あ、結構あるかもです。例えば……」
B代さんは、これまで経験してきた5年半を振り返り、さまざまな保育現場での場面を思い出していきました。
園長先生や主任をサポートしてきたこと、クレーマーの保護者にも誠実に対応し、結果的には仲良くなることができたこと、新人のメンバーには、丁寧に仕事を教えるように心がけてきた結果、教育係を任されるようになったこと……などなど。
こうしてB代さんは、アドバイザーと一緒に、自分のこれまでのキャリアの棚卸をしていきました。
「B代さんは、どんな保育をしたいのでしょう。そもそもなぜ、今回転職活動をしようと思ったのでしょうか」
アドバイザーは、今までB代さんが頭の中でぼんやりとしか考えていなかったことを、明確な言葉に置き換えてくれました。
「そうか、私は、いまの職場に不満があるわけではなく、自分の保育への情熱を、もっと大きな園で、0歳から就学前までの子どもたちにかかわることで発揮したい、スキルアップしたい、と思ったんだ」
一人では気づかなかったことでした。そして改めて「もしご縁があるなら、自分の理想の保育ができる保育園で働きたい」という想いを強くしたのでした。
次回はいよいよ、初めての転職活動~見学編~です。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)