前回までのお話
前回は、保育園での自分の動きを脳内再生しながら、
自分が毎日どんな動きをしていて、
どんな気持ちになっているのか、
相手のどんなところにひっかかっているのか、について
客観的に眺めてみました。
そんなことしたくないよ!と言う方は
このコラムを読みながら、ぼんやりと頭の中で(実際にノートに書かなくても)思い浮かべるだけでも大丈夫です。
無理をしないことが一番です。
なんのための観察?その目的のおさらい
そもそもこの作業を何のためにやっているのか、
その目的をおさらいしておきましょう。
毎日漠然と
「とにかく〇〇先生が嫌い!」「保育観が合わない!」
と思っている自分の気持ちの解像度を上げて、問題にフォーカスすることで、
自分がもっと楽しく幸せに保育に向き合えるようなヒントを得ること。
負のループにハマってしまっている状態から一歩踏み出せるようにする準備です。
その目的を忘れずに取り組んでみてくださいね。
前回のノートを振り返って
※相手の言動にひっかかっているところにマーカーをした状態
一日の動き
・駅から園まで歩く
感情
→気が重い。また一日が始まる
・途中コンビニで昼食や飲み物を買う
→朝ごはんも食べられなかったからちょっと食べてから入ろう。休憩時間が楽しみだな。
・更衣室のドアを開ける
→とにかく気が重い。できることなら帰って休みたい…。
・着替える
・タイムカードを押す
→はぁ、今日も始まった。
・申し送りノートを確認する
・担当クラスに入る
→今日は何を言われるかな。朝からキツイな。もう少し優しい言い方してくれればいいのに。
・園長、担任や子どもとの会話
→どうして私がいつもこの仕事なんだろう。子どもたち、今日も元気だな。
・先輩に指示を受け配置につく
・慌ただしい一日の始まり
→とにかく急がないと!遅いとまた先輩に怒られる(精一杯のスピードでこなしてるのに!)
・登園した子どもの手洗い
・順次おむつ替え
→今日も〇〇先生、テンションが低い、機嫌が悪いのかな。嫌な予感がする。
・朝おやつの机いす、エプロンの準備
→また〇〇ちゃんが泣いてる、他の子のおやつに手を出してる。
・朝の会の間に配膳
→子どもにもキツイ言い方してるな、それって虐待じゃない?私ならもう少し優しく声がけするのに。
・子どもの手洗い、席につかせる
→子どもたち、最近お友達に手が出る。大人が落ち着いていないから仕方ないよね。
・おやつの介助
→とにかく早く散歩の準備しなくっちゃ。あ、また〇〇ちゃんが泣いてる… etc
こうしてみてみると「キツイ言い方」「怒られる」「機嫌が悪い」などの言葉が多いということが分かります。
それをさらに具体化していきましょう。
- キツイ言い方→(どんな?)→ 笑顔も挨拶もない。「〇〇してもらえますか」と冷淡にいう
- 子どもにもキツイ→(どんな?)→「また〇〇ちゃん、さっきも言ったよね?」「食べないと、〇〇ちゃんだけ置いていくよ」
- 機嫌が悪い→(どんなふうに)→一日中笑顔がない、話しかけても答えてくれない。仲が良い先生には笑顔、私には無表情。
ふむふむ。確かにキツイですね(笑)
でも、こういう保育士さんに私も何人も出会ってきました。
見ているほうも嫌な気分になるのも仕方がないことです。
しかし相手にも相手の、何か事情があるのかもしれません。
(もちろん性格の問題、という言葉で片づけることもできますが!)
最大限妥協して、どんな気持ちで言っているのか、想像してみましょう。
相手の気持ちを想像してみる
- 笑顔も挨拶もない→ご家庭や恋人とうまくいっていないのかな。そういえば、お母さん具合が悪いって言ってたな
- 子どもにキツイ言い方→気持ちが前向きになれないから、ついつい感情的な言葉を口にしてしまうのかも。
- 私には無表情→悪気はないけど、笑顔ややさしい言葉をかけることも面倒くさい
あくまでも想像ですから、本当は違うかもしれません。
でもこうして書いてみると、なんとなく、相手にも事情があるのかも……という気持ちになってきませんか。
しかし、どうしても、だからって、許せないよね!ということがあります。
それは、子どもに対する態度です。
自分の気持ちが乗らないから、前向きになれないから、ついつい感情的になる、
というのは、子どものプロである保育士にとって、あってはならないこと。
その部分に、あなたの保育観が反応しているのではないでしょうか。
キツイ言葉がけをされている子どもの表情はどうでしょうか。
先生のことを怖がって委縮してしまったり、泣いたりしているかもしれません。
あなたはその時、どうしていますか?見て見ぬふりをしていますか?
あなたならどんな言葉がけをするのでしょう?
次回は、「この場面で、私ならこうする」ということについて
自分の視点に戻って考えていきたいと思います。
そうすることで、自分の保育観と相手の保育観の違いが浮かび上がってくるのです。
(つづく)
このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
次回は、
「具体的に保育の中で、いま、私ができること」
について具体的に考えてみたいと思います。
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)