保育士はキツイ?辛い?諦めてしまうその理由
――「夢を抱いて保育士になりましたが、現場に配属されて『保育園ってこんなにキツイんだ』と心が折れそうです」
――「キツイっていうのは、体の面ですか?それとも心の面ですか?」
――「どちらかというと、心のほうです。言い方がキツイ先輩や、お局みたいな人が多くて。頑張ってるんですけど認めてもらえなくて。もう保育士辞めたいです……」
私は保育事業者の本部担当として、また現場の保育士として、こんなご相談を何度も受けてきました。
保育士養成校(大学や専門学校)の授業で研修に行った先で辛い目に会い、「私、保育士無理かも」と進路を変更してしまう人もいました。
(養成校の非常勤講師をしている時にも学生からよく相談を受けていました)
東京都の調査によると、保育士を辞めた原因は下記のようになっています。
(いろいろなサイトに掲載されているから見たことがある方も多いと思います)
「職場の人間関係」
「給料が安い」
「仕事量が多い」の順になっていますね。
世間一般の保育士のイメージとも重なるようです。
「職場の人間関係」には悩まされていない、という方もいらっしゃると思いますが
「あの人と組みたくない」「どうして私ばっかり」「保育観が合わない」という感情を一度持ってしまうと苦手意識となり、ずっとモヤモヤしたまま働いている方も多いのではないでしょうか?
この、よく聞く「保育観」というのがクセ物です。
「保育観」とは
「保育観」とは、「自分が大切にしたいと思っている保育の価値観」のこと。
みなさんは、どんな保育観を持って保育していますか?
ご自身の保育観を、言葉にして説明できますか?と改めて聞かれると
「えっと、私にとって保育とは……」と考えをまとめるのに時間がかかることも。
言葉にするまでもないほど、自分の頭と心に沁みついているかもしれませんね。
でも人との「保育観」の違いにはなぜか、目が行ってしまうもの。
子どもを主体にした保育、という園の理念があるのに、
子どもに対して乱暴な言葉遣いをしている。とか、
目上の人にはペコペコするのに、
同僚や部下にはツンツンして、保護者の悪口や噂ばかり言っている。など。
そんな保育士に出会ったとき、「あの人とは保育観が合わない」と感じ、一度違和感を覚えると、日々悪いところばかり目に入ってしまいます。
そして気づかないうちに、あなたも、モヤモヤがつい口や態度で出てしまっていることも。
「あんな人が保育士をしてるなんて!子どもが可愛そう」
と他の人に自分も愚痴を言ってしまっている……私もそんな経験があります。
保育は誰のため?
でも待って。そもそも何のために、誰のための保育なんだっけ?
保育の原点に立ち戻ることが大切です。
保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である。
(第1章「総則」(2)保育の目標より)
わ!出た!「保育所保育指針」。と目をそらす方もいると思います(笑)
正直、忙しくてなかなか全文を読み返すこともないと思いますが、たまに読んでみるといいですよ♪保育の大切な原点を、改めて思い出すことができます。
指針にも書いてあるように、保育所は子どもたちが生活の大半を過ごす場所です。
保育士は子どもたちにとって最も身近な大人の一人であり、環境なんですね!
(つづく)
このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
次回は「保育観の違いを感じるのはなぜ?」について具体的に考えてみたいと思います。
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)