ぶるーむサプリ☆~シアワセ保育士・メンタルのヒント~Vol.51 「保育に役立つ心理学 シーズン2 ②心理的安全性

マガジン

保育士のメンタルに効くプチコラム「ぶるーむサプリ」です。

保育に役立つ心理学の新シーズン2回目は、「心理的安全性」です。

あなたの職場はいかがでしょうか?

——————————————————–

心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを安心して発言・行動できる状態のこと。

他のメンバーが、自分が発言することを否定されたり、拒絶されたり、恥をかかされたり、罰を与えられるようなことをしない、という確信を持っており、「この場所は安心・安全である」という信念がメンバーの間で共有されている状態、という定義です。

例えば、保育のクラス運営での事例を示してみましょう

新年度、クラスが始まって1ヶ月が経とうとする頃のこと。

1歳児クラス、担任は4人です。

「夕方の自由遊びがマンネリ化。そのせいか、子どもたちが走り回ってケガが増えている」と気になっている保育士がいました。そして、

「ただブロックやままごとを、漫然と出すのではなく、時間に区切っていろいろな遊びやダンスタイムを取り入れるのもありかもしれない」というアイディアを思いつきました。

クラス担任の中で、経験年数も年齢も一番若い自分の意見を、先輩たちは聞いてくれるだろうか……という不安がよぎりましたが、思い切って週1回のクラス会議で、提案してみました。

すると、少し性格も口調もきつい先輩保育士(じつは最初からちょっと合わないな、と思っていた)が言いました。

「え、でもそれってー」

その瞬間に、(うわ、否定されるんだ)と身構えてしまいました。

「結局走る子は走るし、夕方は早番も上がって人も少なくなるし、ゆったりお迎えを待つ時間でよくないですか」

と言います。

しかし一番年上の先輩保育士が言いました。

「そうかもしれないけど、子どもも朝から同じ遊びばかりじゃ飽きちゃうよね。メリハリのある活動を取り入れることで、物の取り合いやかみつきなども減るかもしれないよ」

「でも……」

「否定するんじゃなくて、まずはやってみようよ。〇〇先生、ありがとうね。意見を出し合っていい保育にしていこうよ」

否定した先輩は黙ってしまいました。

味方になってくれてとてもホッとすると同時に、「これからも意見を言っていいんだ」という心理的安全性が生まれました。

そして翌日から少しずつ夕方の活動を見直したところ、子どもたちも職員も、遊びが広がって楽しく過ごす時間が増えました。まだ改善点はあるものの、否定的だった先輩も「いいね、次はこれをやってみようよ」と積極的に考えてくれるように。

声の大きい人の意見ばかりが通ったり、表面的な話し合いしかできないクラス、これではチーム保育は成り立ちません。

1年間一緒にやっていく仲間だからこそ、皆が「心理的安全性」を持つことができるように慮ること。もちろん「それは違うと思う」ということも時には必要です。

自分らしく、やりたい保育を、何よりも子どもたちのために日々実践していくために。

人間だから、性格や価値観の合う、合わないはあって当然。

「あの人はいつも、ああいう人だから」と見えないシャッターを下ろしてしまう前に、まずは心を開いて意見を“聴く”ことから始まります。

次回も保育に役立つ心理学用語をお届けします。お楽しみに!

———————————————————-

このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪

※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。

(文:鈴木聖子)

タイトルとURLをコピーしました