心理学の世界は奥深い。保育業務に役立つ知識もたくさん!
今回は、「段階的要請(フット・イン・ザ・ドア)」です。
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行事の担当などになったとき、
なかなか人にお願いできずに、一人で抱え込んで残業してしまったりしていませんか。
「一人でやらないで誰かにふって!」と園長先生は言ってくれるけど……
他の先生も忙しそうだし、お願いしづらいんです~!
ということ、よくありませんか。
あなたが真面目な人なら、なおのこと、
「私が頑張らなくちゃ」とたくさんの仕事で手一杯になっていることでしょう。
そんな時にお役立ちな心理テクニックの一つが
「段階的要請(フット・イン・ザ・ドア)」です。
これは、営業やセールスなどによく用いられ、
最初に相手に小さな要求をし、少しずつそれを大きくしていくと、
大きな要求も承諾してもらうことができる、というものです。
ずいぶんと難しそうに聞こえますが、
例えばこんなことです。
ちょっと気の合わない、同僚の保育士A先生。
ささいなことでも報告するようにお願いしているのに、
報連相を徹底してくれず、保護者トラブルにもなりかねない状況です。
イライラ、ひやひやする毎日。そこで、あなたはこんなふうにお願いすることにしました。
「先生の連絡帳の文章、ほんとに素敵ですよねー。とても参考になります」
「え?そう? 普通だけど」
「子どもの様子がほんとによくわかるし、細かく観察していてほんとすごいです。
誰よりも観察眼が鋭いから、私や他の先生よりたくさん気づいてると思う。だからね先生、気づいたことがあったらこのノートに、どんなことでもいいからメモしてもらってもいいですか?」
すると、A先生はとても上機嫌になって、
その日から、細かい気づきをメモするようになり、口頭でも報告をくれるようになりました。
最初から「ちゃんと報告してください」とあいまいにお願いするよりも、
その先生が得意で簡単にできそうなことからお願いしてみたことによって、
相手の心のドアが開いて足を踏み入れることができたんですね。
少し大げさに褒めながら、相手を気持ちよくさせるのも小技の一つです。
ほんとに面倒くさいですね、コミュニケーションって(笑)
でも、あなたがもし逆の立場だったら
「嬉しいな、よし、がんばろう」とやる気も出てまさにWin-Winですよね。
これは大人だけでなく、子どもにも使えそうです。
ぜひ今日から、「段階的にお願いするフット・イン・ザ・ドア」を
使ってみてくださいね。きっと、園内のコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
(文:鈴木聖子)