ここでポイントとなるのは、これまでだったら
「なんであんなことを……ひどい言い方、本当にこの人とは保育したくない」
「また今日もこれに耐えるのか」
と自分中心の考え方をしてしまうところでした。
しかし、目線や心の持ちようを“自分中心”から、“子ども中心の保育軸”に
変えただけで、心が重くなる現象を防ぐことができたのです。
つまり
相手の嫌な言葉や行動に、自分が反応するのではなく、すぐに「子どものためにいまできること、できる範囲でやってみる」という新しい思考回路の「スイッチ」を入れてみる。
ということです。
もしあなたが、そういう場面に遭遇したら、これを試してみてください。
そしてこのような、小さな「スイッチの切り替え運動」の積み重ねが
やがて、ほかの担任やパートさんの言動も少しずつ変えていくきっかけになったのでした。
会議では、「こういうふうにしたら、●●ちゃんは動きましたよ」
「こうするよりも、このほうがやる気がでるみたい」
と成功事例をできるだけ共有するようにしました。
するとリーダーや、きつくあたっていた先生たちも、だんだん言動が、
子ども軸に変わっていったのです。
よく「子ども一人ひとりの気持ちに寄り添う」と言いますが、
あ集団で生活している保育園では、なかなかそうもいかない場面が多いですよね。
一人ひとりに丁寧に接したいのはやまやまだけど、保育士がたくさん配置されていればできることも、多くの保育園では保育士の人数はギリギリ。一人ひとりに……と子育てのようにやっていたら、保育ができません。いわゆる「保育が回らない」と言う状態になります。
ですから、きつくあたる先輩や同僚も「そんなことはわかっているし、やりたいけど、
まずはクラス全体をまとめなくては」ということを優先しがちになっているのです。
決して悪意ではない、しかし、その輪を乱す子どもや、いつもスムーズにいかない場面で
ある特定の子どもだけが目についてしまい、声がけがエスカレートし、麻痺していくのです。
「私は保育士として、クラスをうまく回そうとしているのだから、多少注意するのは仕方がないこと。私はうまくやっている」と勘違いしていくのだと思います。
それがエスカレートした結果、不適切保育が生まれ、皆もその状況が日常風景になって、見て見ぬふりをしてしまい、気が付いたときには自分も加害者のひとりになってしまう……
誰よりも、言葉をまだうまく伝えられない子どもが、被害者なのです。
その大人たちを、ただ責めていても不適切はなくならない。悪いことだとわかっていながら止められない、自分も心を病んでしまう、という状況に陥るのです。
でもそうなる前に、できることは何か、ということを、冷静に客観的に観察し、分析しやってみる(実験してみる)。
そのために、自分は、保育士として、もっと学びもっと実践してみる、というポジティブな行動に
変換してみる。
その意味でも、心理学について学ぶ、学びなおすことはとても有効だと思います。
次回は、心理学の視点からも、具体的に役立つ項目をピックアップしていきましょう。
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このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)