改めましてこんにちは! 保育士のメンタルに効くプチコラム「ぶるーむサプリ」です。
新年度を迎え、期待と不安でいっぱいの人も多いのではないでしょうか?
今回からは、前回ご好評をいただいた、保育に役立つ心理学の新シーズンです。
人間関係に悩んだとき、仕事につまづいたとき……ぜひヒントにしてみてくださいね。
——————————————————–
みなさんは「初頭効果」という言葉を聞いたことはありますか?
「第一印象が大事」ということはよく言いますね。
初頭効果と第一印象は、似たような意味ではありますが、第一印象が視覚的な意味合いが強いのに対し、「初頭効果」は、「物事や人に対して最初に示された“情報”が、もっとも記憶や印象に定着しやすい」という心理学用語です。つまり、視覚的なことだけでなく、全体の印象や情報を総合的に伝えることで生まれる心理効果といえるでしょう。
1946年、アメリカで活躍したポーランドの心理学者ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)が、「印象形成」による初頭効果の実験を行いました。
「印象形成」とは、観察者が確認することのできる限られた情報から、その人物の全体的な印象を形づくることを指します。
まず、知らない人の性格を表す2つの形容詞を並べた文章を2つ用意し、それを読みます。
・A ポジティブな形容詞が先の文章(やさしい、明るい、正直、素直、など)
・B ネガティブな形容詞が先の文章(用心深い、嫉妬深い、短気、など)
AまたはBのどちらかの文章を読んだ後、その人物に対する印象についてインタビューしました。
すると、読み上げた形容詞の並び順によって、その人物の印象が違うことがわかったのです。つまり、人は、最初に提示された情報による印象が最も記憶に残りやすい、ということを表しています。
出会って3~6秒ほどで、人は相手の印象を認識するといわれています。そして最初に抱いた印象は、そう簡単には覆りません。また、出会ってから半年ほどは初頭効果の影響が続きやすい、という説も。
初頭効果は、ビジネスや職場環境づくり、恋愛などさまざまな場面で活用することができます。
あなたは、人に初めて出会ったとき、よりポジティブな初頭効果を相手に与えることができているでしょうか。
ちょっとしたことに気を付けるだけで、初頭効果を高めることができます。そしてその後のコミュニケーションをスムーズに運ぶこともできます。
例えば、こんな方法で初頭効果をアップできます。
- 表情:笑顔、口角を上げる、目線を合わせる、
- 姿勢:背筋を伸ばす、鎖骨を開く
- 会話:あいづち、傾聴、相手に合わせたキャッチボール、言葉遣い
- 身だしなみ:服装、髪型、服装、化粧、靴、カバン、匂い
- 声のトーン:声の大きさ・高さなど
ただし、似たような言葉で「ハロー効果」というものがあります。
ハロー効果は、相手の印象に引きずられてしまうことがあるという現象です。
例えば「あの人はとても美しい」→「美しいから性格もよさそうだ」、「いつも髪の毛がボサボサだ」→「頭も悪そうだ」などの思い込みです。
新しい環境、新しい職場で、自分のキャラクターをどうやって打ち出していこうか、
人見知りの私が、早く周囲の人と仲良くなるには、どうしたらいいのだろう……などの悩みを抱えている人は多いはず。
いろいろな心理効果を日常生活に応用し実践することで、自己肯定感や自己有用感を高め、さまざまな人たちとの出会いの印象を、まずはポジティブなものにしかれたら今後の人間関係も良好になっていきそうですね。
次回は「心理的安全性」です。お楽しみに!
———————————————————-
このコラムでは、皆さんからのお悩みを広く募集しています。
子どもたちのために働く、同じ仲間の立場から、
保育の仕事を楽しく続けるためのヒントについて、ご一緒に考えていきたいと思います♪
※医療的な内容については、専門家にご相談くださいね。
(文:鈴木聖子)